東北大震災の後(2011年)、「大切な革靴が海水に浸かってしまった」という相談を受けました。
その時にお返事をした塩抜きの方法を紹介します。
【塩抜き】
まず、バケツに水をたっぷりと入れて、海水に浸かった革靴をバケツの中に入れます。そのまま24時間、革靴を水に入れておきます。
24時間が過ぎたら、バケツの水をすべて捨てて、新しい水をもう一度バケツに入れます。その新しい水に革靴を24時間入れておきます。
合計48時間水に入れることで、革に浸透した塩がほぼ抜けます。あとは、靴をしっかりと拭いて、シューキーパーを入れて陰干しで乾かしてください。
乾いたら、革がかなり乾燥していますので、多めの靴クリームを塗って靴磨きをしてください。
【アレルギー】
流通している革靴の多くは「クロムなめし」という加工がされた革を使っています。クロムとは塩基性硫酸クロムと呼ばれる化学薬品です。
以前、あるお客様から受けた相談です。
「クロムなめし」の革靴を履くと足にアレルギーが出ます。いつもは天然なめし(ベジタブルタンニン)の革靴を買うのですが、間違ってクロムなめしの靴を買いました。クロムを抜く方法はありますか?
この時に思い出したのが、革靴の塩抜きです。あくまで仮定ですが、足の汗がクロムに反応して化学変化をおこし、それがアレルギーの原因になっているかもしれない。
そこで、バケツの中に水を入れ、そこにたっぷりの塩を入れて海水を作ります。その海水に24時間入れてください。
クロムが塩分に反応して抜けるかもしれません。確証はありませんし、アレルギーの原因も人それぞれ違うでしょうから、うまくいく保証はありませんが、これぐらいしか思いつきません。
そう回答すると、お客様から「どうせ履けないのだからやってみます」と返事が来ました。
塩につけた後は、上記に書きました塩抜きをしていただきました。
後日、お客様から連絡がきました。「塩につけた靴を履いたらアレルギーが出ない」
これは、たまたまかもしれません。万人向けではないかもしれません。必ずクロムが抜ける保証もありません。
ただ、このお客様のように間違って靴を買い、返品も出来ないという状況ならば、試してみるのもいいかもしれませんね。